綺月君の手が、
一瞬だけ私の手に触れた。
私の手に触れ。離れ。また触れて。
私の心の中を探るように。
試されているかのように。
私の手を包みそうで
包んでくれない、綺月君。
「手を繋いでも……いいの……?」
「心美は、どうしたいわけ?」
ズルいよ。その質問。
手を差し出してきたのは、綺月君なのに。
答えるのが、恥ずかしくて。
でも、綺月君の温もりを感じたくて。
コクリ。
頑張って、小さくだけど頷いた私。
「それ、無自覚?」
「へ?」
「俺を、誘惑してんの?」
ゆ……ゆ……誘惑?
私、うつむいたまま頷いただけだよ。
綺月君が気づくか、心配なくらい小っちゃく。
「そんなキャラじゃねぇか。心美は」
動揺する私の心を置き去りにして。
綺月君は、勝手に納得しちゃったみたい。
でも、いきなり。
真剣な瞳で私を見つめてきて。
私の心臓を飛び跳ねさせて。
かと思えば、ふっと目じりを緩めて。
優しいお兄さんみたいな
無邪気な笑顔を、私に向けた。



