午前中の授業が終わり。
学校で唯一の、
私のお楽しみタイムがやってきた。
「心美ちゃん、お待たせ」
椅子を私の机の前にずらし、
机の上にカバンを置いた天音君。
「はい。心美ちゃんにプレゼント」
「ヴァン様のクリアファイル?」
「コンビニでお菓子を買ったら、
今だけもらえるんだよ。
知らなかったでしょ?」
天音君の瞳は、
前髪で隠れて全く見えないけれど。
緩んだ口元から、とびきりの笑顔を
向けてくれているのがわかる。
「もらっていいの?」
「心美ちゃんが、喜んでくれるなら」
「ありがとう。大事にするね」
「それより、大丈夫?」
天音君、いきなり声のボリュームが
下がったけれど。
大丈夫って、なんのこと?



