「え……と……」
どうしよう。
なんて言って、断ろう……
「明日は……」
ゆるっと腕がほどけ、
私から離れた綺月君。
恐る恐る、綺月君の顔を見て……
ひゃっ!!!!
一瞬で目を逸らした。
だって綺月君。
真っ赤になった顔を
手のひらで隠しながら、
うつむいているんだもん。
そういう、可愛い感じ。
弱っている感じ。
やめてください。
堂々としている
いつもの綺月君と違いすぎて。
心が、持って行かれそうになるから。
「明日の10時に
ゾクゾクパークの入り口な」
「私……行くとは……」
言ってないのに……
最後まで、言葉が続かなかった。
だって。
綺月君の大きな手のひらが、
私の頭の上にのって。
キスされそうなほど近くに
綺月君の顔が迫って。
自信なさげな瞳を揺らして、
ゆるっと微笑んでくれたから。



