「5分……だけなら……」
恥ずかしすぎて。
なんとか吐き出した切れ切れの声。
「サンキュー」
穏やかな声が耳に降ってきたと同時。
フッと、肩が軽くなった。
綺月君、
離れてくれるのかな?
そう思って、ホッとしたのに。
いきなり視界が暗くなって。
私の頬が凹むくらい、
何かに押し当てられていて。
この状況が、理解できない。
ドクンドクンと私の頬に伝わる、
心拍。
包み込まれるように、
私の背中に伝わる腕の感触。
な……な……なんで?
さっきまで、綺月君の頭が
肩に乗っていただけだったのに。
抱きしめられているんですけど……