「綺月君……早起きだね……」

 
 どこを見ていいかわからなくて、
 綺月君以外をさまよう視線。


「心美にばっかり料理やらせるの、
 悪いと思って……」


「気にしなくていいよ。
 私が作るから、
 綺月君はもう一度寝て来たら?」


「もう、弁当は作ったし」


 ふえ?


 本当だ。

 キッチンカウンターの上。
 お弁当箱が二つ、仲良く並んでいる。

 

「綺月君、何時に起きたの?」


「……5時」


 いつも7時起きって言っていたのに。

 2時間も早く起きてくれたの?



「綺月君。
 お弁当を作ってくれて、ありがとう」


 嬉しさが込みあげてきて、
 思いっきり微笑んでしまった私。


 綺月君はというと、
 なぜか顔だけじゃなく、耳まで真っ赤。



「綺月君、具合悪い?」


「大丈夫」


「だって、熱がありそうだよ」


「ちがっ……これは……」



 さらに熱が、上がっちゃったの?

 うつむきながら、おでこを押さえているし。