曲作りの時は、
 心美の存在すら忘れていたのに。

 あいつの唇の感触が、
 鮮やかに蘇ってきて。

 まともに、心美の顔すら見られない。


 とりあえず、謝んねぇとな。




「心美……ごめん……」


「なんの……こと……?」


 強引なキスのこと。

 でも、それにふれる勇気はない……



「俺、頭にメロディーが浮かぶと。
 周り、見えなくなるから」


「そうなんだね……」


 俺と会話なんてしたくない。

 うつむいたままの心美からは、
 拒絶感しか感じられない。



 さすがに嫌われたよな?

 今日の俺、
 2回も、心美の唇を奪っちゃったし。