東京ヴァルハラ異聞録

「ぬうっ!!このままでは押し切られるかっ!どうにかせねばっ!」


フェンリルの攻撃に、オーディンは防戦一方。


秋本がフェンリルの周りを飛び回り、攻撃を加えてはいるものの、全く相手にされていないという事が示すように、単体の攻撃ではダメージを与えられていなかった。


どうにかして攻撃に転じねば、これ以上は防ぎ切れないのは明白。


スレイプニルの足元にいた人間達も、いつの間にかいなくなっている。ポーン達が押し寄せていたから。


だが、オーディンがそう考えた時、ポーン達が次々と倒されて行く。


「よう、御田さん。ここからは俺達も手伝うぜ。この躾の出来てねぇ獣に、人間の怖さってやつを教えてやらないとな」


オーディンの前に現れたのは、地上部隊の面々。


手に鎖分銅を巻き付けた吉良が、オーディンを見上げてニヤリと笑った。


「お前達……そうだな、まだ負けたわけではなかったわ!!」


人間の行動が、オーディンを奮い立たせた。


一人一人の力は弱くとも、力を合わせればどんな敵をも打ち砕ける。


そんな不思議な力を持った人間に勇気を貰い、オーディンはグングニルを握り締めた。


そして、その後ろのビルの屋上に、美姫が立った。