東京ヴァルハラ異聞録

「随分ざっくりだな。第二陣が秋本と千桜、大塚なのはわかったけど、地上部隊と第一陣はどう分ける?」


フェンリル相手では、どちらになっても大差はない。


そう感じたのか、将太が尋ねる。


「それについても考えがある。打撃系武器では、フェンリルの毛皮に攻撃を阻まれてしまう。だから、第一陣には毛皮を切り裂く、またはそれに準ずるダメージが与えられる者に行ってもらいたい。名鳥、将太、朝倉、龍拳に俺だ。後に志願する者はいるか?」


そう、久慈が尋ねたが、誰も名乗り出る者はいない。


「え、お、俺も第一陣なの?嘘だろ」


龍拳がそう小さく呟いたが、それに反応する者は誰もいない。


「では、残りは地上でフェンリルと戦えば良いのね?」


「ああ、危険は多いが、動きを止める役割を果たしてもらいたい」


フェンリルの動きを止める……それがどんなに大変な事か、ここにいる全員わかっている。


それが可能なのかすらわからないけれど、血塗れの美姫を見て、無理だという言葉を発する者は誰もいなかった。


「では北浦。俺達8人を何かに乗せてやつの頭上に運んでくれ。一度目の急降下で第一陣がフェンリルに攻撃を仕掛ける。その後に秋本、千桜、大塚を再び上昇させる。途中で千桜と大塚は飛び降り、急降下して来る秋本を掴んでさらに加速させる……シビアな作戦だが、やれるな?」