東京ヴァルハラ異聞録

「天馬くん、待って。このお兄さん怪我をしてる」


「だからなんだよ!怪我してるからって俺達を殺さない保証はないだろ!見ろよ!影が青いだろ!敵なんだよ!」


子供にまで敵と言われると、なんだか落ち込むな。


だからって、こんな子供を殺そうだなんて思えない。


「困ったな。どう言えばいいんだろう。俺はさ、怪我を治す為にここに入っただけで、キミ達を殺すつもりは……」


何とか、戦う意思はないと信じてもらいたくて、必死に説得しようとしたけど。


隣のカーテンが開き、その向こうから女の子が剣を握り締めて飛び出して来たのだ。


洋剣……だが長くはない。


ショートソードが俺に迫るけれど、それを受け止めるのは容易だった。


「!?出ていけ!!私達を苦しめないで!!」


今にも泣き出しそうな、幼さの残る顔を俺に向けて叫ぶ。


「だから俺は!あーもう!怪我をしたから休ませてほしいだけなんだって!わかってくれよ!」


ここがこの子達の住処だとしたら、勝手に上がり込んでこんな事を言ってるのはおかしいのだろう。


それでも、俺も悠長な事は言ってられないから。


子供達から離れ、日本刀から手を放すと、俺は手を挙げた。