東京ヴァルハラ異聞録

「ぎぎ……結城、後は……任せたぜ!だけどよ、タダで命をくれてやるほど、この三原国光、弱くもお人好しでもねえぞ!」


最後の力を振り絞ったのだろう。


三原は両手のジャンビアで、ビショップゾンビの指を切り裂き、血液を浴びながらも脱出を果たしたのだ。


だが、その身体は溶け、所々骨が見えている。


恐らく、PBTも溶かされてしまったのだろう。


三原に、回復の手段は残されてはいなかった。


「俺だけ死んで……たまるかよ。お前も連れて行く。俺の命で満足しやがれ!」


そう叫んで、ビショップゾンビの頭部を切り刻む。


そして、階段にしがみついていた腕が切り落とされ、支えを失ったビショップゾンビは、今度こそ階下へと落下して行った。


その血液を全身に浴びた三原は、その場に蹲り、そして寝転がるように倒れた。


「侑樹ちゃん……」


そう、小さく呟いて、三原は完全に溶けて消えてしまったのだ。


「くっ!もっと上手くやれていれば!」


早くも仲間を失った。


俺は、こいつを足止めすると決めたのに、それすら出来なかったのか。


「くそっ!」


後方に飛び退き、日本刀を鞘に納めて溜める。


そしてその力を一気にビショップゾンビにぶつけ、俺は階段を駆け上がった。