東京ヴァルハラ異聞録

その言葉で、三原と麻衣に焦りが出始める。


血液を避ける事でさえ大変なのに、さらに切断された頭部が上って来ているとあれば。


「ど、どうするんだよこんなの!どうやって倒せばいいんだ!」


ジャンビアは短い。


下手に攻撃をすれば、モロに血液を浴びてしまうだろう。


いや、それ以前に、攻撃しても倒せないというなら、攻撃をする意味すら見当たらないのだ。


「早くしろ!階段が溶け始めているぞ!このままでは分断されてしまうぞ!」


「んだ事わかってんだよ!そう思うならちっとは手伝えよ!!」


三原がそう言いたくなる気持ちはわかる。


だけど、何をしてもダメなら、手助けのしようがないというのも事実。


俺達は……ただ皆の無事を祈る事しか出来ないのだ。


「ここまで来れば大丈夫ね。どう?後の三人はこっちに向かってるの!?」


拓真と川本を連れて来た月影が、階下を覗き込んで尋ねた。


「いや、身動きが取れないでいる。このままではやつに餌食になるだろうな」


「だったら……私が行きます!私のホーリーフィルムなら、この血の中でも身動きは取れますから」


……情けない。


倒せないとか、見ているしかないとか。


そんなくだらない事を考えていたのか俺は。


月影の姿を見て、仲間を助けることをなぜ躊躇していたんだと自分を恥じた。