東京ヴァルハラ異聞録

「やれやれ。月影だけでなく、三原まで臆病風に吹かれたか?こんな塔の中に何がいるというのだ。前回はここにビショップがいたがな。黒井がビショップになったという事は、もうそれはいない。感じているならばそれは、クイーンに違いない」


呆れたように恵梨香さんが首を横に振って見せたけど、三原はどうも納得いかない様子。


「いや、本当に何か落ちたんだって!嘘だと思うなら見てろよ!」


「恵梨香、ここは三原さんの言う通り、それが何かを確認しましょう。時間がない事はわかっているけど、危険は避けた方が良いから」


狩野が、階段を上りながらも、中心の柱を見る。


今、外がどんな様子かはここから知る術はない。


フェンリルが街に飛び出し、暴れてキングを破壊すれば、俺達のレベルが下がってしまう。


それは防ぎたいけど、この先の危険も回避したいと思うのは当然か。


「わかったわかった。怖いと思うから、何もない事を怖がるのだ。こういうのは何も考えずに一気に……」


と、恵梨香さんが前を向いて階段を上った時。



「うわっ!本当に何か落ちた!なんだよ今の!」


拓真が、柱の方を指差して声を上げたのだ。