東京ヴァルハラ異聞録

ゴツンと鈍い音がして、ガクッとフェンリルの右前足が折れる。


だが、それは致命傷とは言い難く、衝撃を与えただけだった。


「俺のミョルニルでも砕けないのかよ……なんて化け物だ」


伊良はフェンリルの強度に唖然としたが、動きを止めると言う点では最大限の効果を発揮したと言えよう。


その上空から、秋本が超高速で落下して来ていたのだから。


「くたばれ化け物が!!俺の一撃、その身で味わえっ!!」


まるで雷のような一撃。


天が轟き、裁きの雷を落としたかのよう。


フェンリルが起き上がった瞬間、天から降り注いだ秋本がその背にハルベルトを突き刺した!


「グッ……グオオオオオオオオオオオン!!」


が、血が噴き出しただけで致命傷というわけではなかった。


それどころか、フェンリルが吠えた事により、付近にいた人達がその衝撃波で吹き飛ばされる。


そして、その咆哮はそれだけの効果ではなかった。


天が黒く染まり始める。


一体なんだと、両国に集まった人達が空を見上げると……。


無数のナイトが降り注いだのだ。


「う、うわっ!!この数のナイト……本当にやれるんですか!?」


宙を飛んでいた千桜も、そのあまりのナイトの数に、戦慄を覚えた。