東京ヴァルハラ異聞録

それにしても強かったな。


戦う覚悟をした俺の、心を完全に折りそうになるくらい強かった。


久慈さんがいなければ死んでいたし、秋本って言ったか……。


それってランキングで4位だった人じゃないか。


「勝てるわけないよな……死ななかっただけでも良かったと思わなきゃ」


あんなに強い人でも、キングを破壊出来ずにこの街にいる。


それほどキングを破壊するのが困難なのか、それとも元の世界に帰ろうとしていないだけなのかはわからないけどさ。


そんな事を考えていた時。


カタッ。


という音が、奥の部屋から聞こえた。


ここは敵陣。


慌てて身体を起こし、襲撃に備えて片手で日本刀を握り締めた。


「……誰か、いるのか?」


ゆっくりと立ち上がり、音が聞こえたドアの方へと近付いた。


ドアノブを回し、ドアを開けると、その部屋の中に入る。


「もう!天馬くんがホウキを倒すから!」


「あんなところにあるのが悪いんだよ!ほら、黙ってろよ!敵に見付かっちまうだろ!」


コソコソと小さな声が聞こえたのはカーテンで仕切られた場所から。


少なくともそこに二人はいると判断したけど、その声はあまりにも……。