東京ヴァルハラ異聞録

「来たか。死んだかと思ったぞ、昴少年」


「すみません、フェンリルに蹴飛ばされてしまって」


言い訳としては間抜けだな。


俺の不注意としか言えないけれど。


「蹴飛ばされたのかよ。よく生きていたなお前。後ろ脚で蹴られたうちの軍のやつらは、身体が吹き飛んでたぞ?」


三原のその言葉に、ゾッとした。


本当に死ななくて良かったよ。


「少年達が来るまでに、中を確認しておいた。やはりここからしか入れないようだ。以前に来た時とは形状が違う。恐らく、黒井が南軍を落とした時に、この街自体が下がったのだろうな。以前にはなかった階段があった」


つまり……黒井がビショップになる事も、南軍を落とす事も、ここに俺達が来る事も決まっていた?


そうとしか思えないくらいに、道筋が出来ている。


俺達は……こうなるように動かされていたとでも言うのか?


何か、不気味な物を感じる。


「……遅くなったわね。ナイトの群れに少し手間取ってしまって」


ドアを開けて入って来たのは狩野。


東軍からは恵梨香さんと狩野か。


この上に何が待ち受けているかはわからないけど、戦力としては十分だ。