東京ヴァルハラ異聞録

「さっさと行こうぜ。あんまり心配すると秋本さんの機嫌が悪くなる。バベルの塔に行く前に味方に殺されるっての」


俺の背中を押し、国技館の入り口へと向かう拓真。


「なんだと拓真!!」


「やべっ!聞こえてた!」


そんなに怯えるなら言わなきゃ良いのに。


秋本の顔をチラリと見ると、今度は拓真を睨み付けている。


「テメェ、拓真!今度会ったらぶっ飛ばしてやるからな!!だから、俺達を元の世界に帰しやがれ!!ぶっ飛ばすのはその時だ!」


秋本はそう言うと、ニヤリと笑ってフェンリルに視線を移した。


「あ、秋本さん……」


「はいはい、早く行くよ。秋本さんが照れて戦えないでしょ」


信じてくれているんだ、俺達がバベルの塔の頂上に辿り着く事を。


外に残るという選択肢は、終わるかどうかもわからない賭けに乗ってくれているという事で、俺達に任せてくれているという事だ。


その想いを……無駄には出来ない!


「行くぞ!俺達でこの世界を終わらせる!」


拓真と麻衣、二人と共に駆け出し、国技館の入り口へと走った。


だが、そんな俺達の上空から……フェンリルの牙が襲い掛かったのだ。