東京ヴァルハラ異聞録

倒しても、すぐに別のポーンが俺達の前に立ちはだかる。


「お前らどけよっ!!」


そこに目掛けて、鞘から引き抜いた刃が光を放つ。


横一閃、眼前のポーン達を上下に斬り倒し、俺達は国技館へと向かった。


「凄まじい威力だ。真治少年でもここまで派手には出来なかったな」


「派手なら良いってものでもないでしょ。発散させるより、凝縮させる方が威力は増すんですから」


「違いない。さあ、国技館に入るぞ!」


恵梨香さんが俺の前に飛び出し、誰よりも速く国技館の入り口へと到達する。


俺や沙羅だけじゃない、恵梨香さんもこの時を待っていたんだろうな。


急な事だったけど、皆と一緒にバベルの塔に挑めるというのは悪くない。


「す、昴くん!!右っ!」


「えっ?」


考え事と、沙羅の声で一瞬反応が遅れた。


いや、沙羅の声がなければ俺はそのまま死んでいたかもしれない。


オーディンと対峙していたフェンリルが動いたのだろう。


俺はその動いた前足に弾かれ、ポーンの群れの中に吹っ飛ばされたのだ。


瞬間的に日本刀で防いだから死なずに済んだけど……50mは吹っ飛ばされたか。


そして、このポーンに囲まれた状況。


そう簡単にはバベルの塔に行かせてくれないって事か。