東京ヴァルハラ異聞録

「桜井か……面白いな。まあ、やつならばどうとでもやるだろう。少々無茶をしてしまうが、この局面ではそれで構わん」


二人の話を聞きながら、俺はPBTから帽子を取り出した。


最近の戦闘は激しくて、失うといけないからと片付けていた帽子。


「それ、篠田さんの帽子だね」


「ああ、篠田さんも本当は、バベルの塔に挑みたかったはずなんだ。だけど、真由さんを守る為に命を捧げた。俺と一緒に、想いを連れて行く。篠田さんがいたから、俺はここにいるんだと信じたいから」


沙羅が微笑んで、もう一度俺の手を握る。


「大丈夫、沙羅も一緒だから。死なせないから……その為なら、沙羅は何にだってなるから」


沙羅の強い想いが、ひしひしと伝わってくる。


「初めて会った時は、何も知らない子供だと思ったが。よくもここまで強くなったものだ。あの時は比べようもなかったが、今ではタケさんが隣にいるような安心感がある。タケさんがお前の中で生きているのか、それともお前がタケさんを超えたか。フッ、どっちだろうな?」


「久慈さん、俺は俺です。だけど、篠田さんや梨奈さん、真由さんや死んで行った人達、戦えなくなった人達の想いを連れて行きますよ。それが俺の役目だと思えます」