東京ヴァルハラ異聞録

「えっと、南軍の人達がいざこざを起こすって聞きましたけど、どうなんですかね?」


「久しぶりね、結城昴くん。その話には大きな間違いがあるわ。私達は東軍の方に保護してもらっているという自覚があります。こちらとしては無用なトラブルを起こすつもりは毛頭ありません。ですが、東軍の一部の不届きな方達が、私達の仲間を強姦しようとしたり、殺そうとしたりするので、自己防衛として反撃、報復をしたまでです。こちらから仕掛けた覚えはありませんし、私達だけが悪者扱いされるのは心外です。それとも東軍ではそれが当然だと教えられているのでしょうか?そもそも……」


俺が尋ねると、桜井が饒舌に自分達の正当性を主張し始めた。


こちらに反論させない凄まじい言葉の連続に、俺は返す言葉もない。


いや、俺は東軍じゃないから、東軍の事を言われてもわからないんだけどさ。


「やれやれ……耳が痛いね。なに、そんな事してたわけ。俺は全然知らないんだけど」


名鳥が溜め息をついて、雨村に尋ねたが、雨村は苦笑いするだけ。


桜井が五分ほど自分の意見を述べた後、三原が前に出て、口にくわえたタバコを吸い、煙を吐いた。


「つまり、気に入らねぇって事だよ。俺達は南軍だ、難民とは言えテメェらの奴隷になったつもりはねぇからな」