東京ヴァルハラ異聞録

黒井に歩み寄り、その姿を見て首を横に振る恵梨香さん。


今の一撃で黒井を倒したと言う実感はある。


だけど大袈裟じゃないか。


ソウルが残っていれば、黒井は復活するのに。


その思いとは裏腹に、黒井の身体は光の粒に変わらなかった。


「……冗談でしょ。嘘だ!もしもそうなら、どうして黒井は俺と戦ったりしたんだよ!おかしいじゃないか!!」


その事態に気付き、全てを否定するように俺は声を上げた。


「おかしい事など何もない。黒井は東軍にいても自然回復をしなかった。PBTが壊れたか、それとも失っていたのか。その時点で死にゆくのを感じていたのだろう。最期に、少年と戦って死ぬ事を選んだのだ」


「だから!!どうしてわざわざ自分に不利な状況で戦ったんですか!?納得出来ませんよ!」


「馬鹿者めっ!!黒井の気持ちがわからんか!こいつは……人として僅かな余命を生きるより、戦士として少年と戦って死ぬ事を選んだのだ!昔から何一つ変わってはいない。愚か者だな」


言われてみれば、黒井の動きは半死人のものではなかった。


限界を超えて、自分の持てる力全てを俺にぶつけてくれたのだろう。


俺は……それに応える事が出来たのか?