東京ヴァルハラ異聞録

「飛び上がったのは間違いだったな!今度は俺の攻撃をお前に食らわせてやるぞ!高山真治!!」


ニヤリと笑い、黒井がランスを頭上の俺に突き付けた。


胴を貫き、空中で串刺しになった……と、黒井は思ったに違いない。


だけど俺は飛び上がってはいない。


飛んだフリをしてみせて、低い姿勢で黒井に迫っていたのだ。


「お前の敗因は、目の前の俺を見ようとしなかった事だよ」


「……ああ。どうやらそうみたいだな」


黒井がそう呟いた瞬間、俺の下から上へ斬り上げる斬撃が黒井の身体を斬り裂いた。


後方に飛び、地面を転がって仰向けに動きを止めた黒井。


ビショップに変わり、人間の敵になってしまったけど、こうして再び人間に戻って、俺との戦いを望んだ。


「ふうっ……危なかった。何度も殺られるって場面があったな。黒井さん、今回は俺の勝ちですね」


「……」


こんな状態で、わざわざ勝ちを宣言するのはいやらしかったかな。


だけど、黒井に勝つ事を目標にしていた俺としては、この勝利は嬉しいから。


「少年、黒井の想いに答えてくれてありがとう。人として、少年に殺してもらえたんだ、満足して眠れるだろう」