東京ヴァルハラ異聞録




光から闇へ。


ふわふわと漂うような浮遊感がある。


息苦しい。


そして、何かで押さえ付けられているような感覚さえある。


「……る!おい、昴!」


どこかで聞いた事のある声が、俺の意識を覚醒させて行く。


「……うあっ!!ビショップは!?ここは!」


目を開けて、混乱気味に声を出した俺は、その景色を見て安心感を覚えた。


俺の顔を、雨村と沙羅が覗き込んでいたのだから。


「は、はは……ただいま、沙羅、雨村」


「ただいまじゃないよあんた達!でっかい槍に貫かれたと思ったら消えてさ!てっきり死んだかと思ったんだから!それが、Angel Tearsで戻って来るってなんなのさ!?」


これは……どう説明すれば良いのか。


「心配したんだよ?10日間もいなくて。でも、無事で良かった」


「え?10日間!?俺達が元の世界にいたのは、一時間ほどだったのに……」


どういう事だ?


元の世界とヴァルハラで、時間の流れが違うとでも言うのか?


「普通の手段で元の世界とヴァルハラを行き来したわけじゃないからな……きっと、その代償だろうよ」


俺に近付いた男がそう言ったが……その声に、俺は、慌てて飛び起きて日本刀を抜いた。