東京ヴァルハラ異聞録

身体中に酸素を行き渡らせるような深呼吸を一つ。


日本刀の柄に手を添えると同時に、意識を集中させた。


目の前にビショップがいるというのに、攻撃を仕掛けてこないと信じられたからか、雑念はない。


スーッと落ちるに似た感覚。


心の波が……完全に収まった。


瞬間、目を開き、鞘から日本刀を高速で引き抜いた。


「は、速いっ!!」


明の声と共に、力を纏った刃がビショップに斬り付けられる。


「二度通じると思うなよ!クソガキがっ!!」


ビショップが、刃に向けて拳を打ち付ける!


それが接触した瞬間……バチンと何かが弾けるような音が聞こえ、俺達を眩しい光が包み込んだ。


「……な、なんだこの光は。まるであの時と同じ……」


俺にもビショップにも見えている激しい光。


「むっ!秋本!狩野!光に入れ!」


本能的に、それが何かを感じ取ったのか、恵梨香さんが叫んで明と秋本が光に手を伸ばした。


そして、手が光に触れた瞬間……音もなく弾けてしまったのだ。


「……き、消えた?どうなってやがる!おい!」


強い力と力がぶつかり、俺達を包み込むような光が発生した。


今ので足りないという事は……もっと強烈な力が必要という事か?