東京ヴァルハラ異聞録

恵梨香さんも秋本も、完全にビショップを殺す気でいる。


こっちの世界に戻れた……ビショップを倒した後、この力を使わなければ普通の人間として生きられると考えているのか。


いや、二人ともヴァルハラに戻る理由はあるはずだ。


大切な人が、まだいるのだから。


だとすれば、ヴァルハラに戻ればビショップを倒す術がなくなると考えているのだろう。


もしも仮に戻ったとしても、あの槍によって再びこの世界に戻されるかもしれないと。


「どうした結城昴。やらないと言うならここで死ね!」


「わかった。皆、手は出さないでください。一撃だけ、俺にチャンスをください」


日本刀を鞘に納め、ビショップの正面に立った。


「はぁ!?正気かお前!ふざけんな!俺は……」


と、秋本が反論した時だった。


「良いだろう。その一撃でビショップを倒せなかった場合、一斉に攻撃を仕掛ける。昴少年も黒井も、それで異論はあるまい」


恵梨香さんが武器を下ろして、溜め息まじりにそう言った。


「フハハハハハッ!わかってるじゃねぇか北条!お前のそういう所は昔から好きだぜ!」


「私はお前など一度も好きだと思った事はないがな」