東京ヴァルハラ異聞録

こいつの性格を考えると、俺の攻撃を食らうまでは絶対に攻撃をしてこない。


それほどの自信があるのだろう。


だったら、この一撃に賭ける。


心穏やかに、揺れる水面が鏡面のように……。


まるで、呼吸も心臓の鼓動も止まるような錯覚に陥りそうになる、永遠とも思えるほどの時間。


「おい!お前達!動くなっ!!」


「手を上げるんだっ!武器を放せ!!」


そんな声が、随分遠くの方で聞こえたような気がする。


全ての感覚が遮断されそうになる瞬間。


手に感じた凄まじい力に、現実に引き戻された。


「ピーチクパーチクうるせぇゴミが。次はこいつらを殺るか?」


と、ビショップが横を向いた瞬間。


俺は日本刀を鞘から引き抜いた。


周囲には警察官!


斬撃を暴走させるわけにはいかない!!


「うおおおおおおおおっ!!」

その声と共に、暴れ狂いそうになる力を抑えて。


刃に全ての力を纏わせた俺は、それをビショップに叩き付けるように斬り掛かった。


「!!」


ビショップの目の色が変わる。


それは咄嗟の行動だろうか。


腕を振り上げ、それを防御しようとしたが……俺の斬撃は、ビショップの腕を切り落としたのだ。