東京ヴァルハラ異聞録

群衆をかき分けて現れたのは……警察官。


ビショップの身体を舐め回すように見て、そう尋ねた。


「は、離れてくださいっ!」


俺がそう叫んだけれど、警察官が「えっ?」と言った瞬間、首がビショップの手でもぎ取られて地面に転がったのだ。


この場にいる誰もが、首をもがれた警察官でさえも、そんな事が起こったなんて気付かなかっただろう。


ゆっくりと倒れる胴体、そして転がった頭部を見て、そこでようやく群衆が気付き、悲鳴を上げて走り出した。


「フハハハハハッ!いいぞこの悲鳴!俺に捧げる讃歌のようだ!もっと泣き叫べ!」


「お前……殺ったな!元の世界で人が死ぬっていう事が、どういう事かわかっているのか!」


「虫けらが一匹死んだからなんだと言うんだ?力の差にビビって動けないお前が、止めていれば死ななかったんじゃないのか?」


なんて理屈だよ。


お前が殺らなければ死ななかっただけの話じゃないか!


「やってやる!!この一撃で、お前を殺してやる!!」


「傷一つ付けられるかよ。それを思い知らせてやるって言ってるんだ、早くやってみろよ」


ビショップに言われるまでもなく、日本刀の柄に手を添えて意識を集中する。