東京ヴァルハラ異聞録

「ここは……元の世界か?どうして俺はここにいる!くそっ!ふざけるな!何がどうなってやがる!!」


ビショップの声に、歩行者天国にいる人達が集まって来た。


「すげー、宙に浮いてるぞ」


「ビルの間にワイヤーでも張ってるんじゃないのか?」


これは……まずい!!


あいつが暴れたら、ここにいる人達全員殺されてしまう!


「チッ!鬱陶しいゴミ虫共が!くたばれっ!!」


そう言うと、ビショップは口を開けて。


凄まじい熱量の火球が、ビショップの口の前に出現したのだ。


「くそっ!こんな所でっ!」


無意識に取り出した日本刀。


……元の世界でも、武器を取り出せる?


ヴァルハラは魂の世界で、俺は魂の存在のはずなのに、元の世界にも存在するという事は……。


なんて、今はそんな事を考えている場合じゃない!


武器が出せるなら、ビショップを止められるのは俺しかいない!


どよめく群衆。


こんな、死の危険が迫っている時でも、人は自分が理解出来ないと逃げようとしないのか。


間に合え、間に合えと、日本刀を握り締めたままビショップに駆け寄る。


そして、地面を蹴って宙に浮くビショップに向かって飛び上がった。