東京ヴァルハラ異聞録

考えれば考えるほど、敗北のイメージしか湧かない。


皆それはわかっているのだろう。


お互いの顔を見合わせて、誰かが口を開くのを待っていた時だった。


ゾクッと、背筋に走った強烈な悪寒。


まるで氷柱が背骨に刺さったような、凄まじい不快感の中で……俺達は空を見上げた。


「く、来るっ!!この感覚は……ビショップ!!」


恐怖を振り払うように、日本刀を取り出して腰を落とした。


皆、その脅威に対して慌てて武器を取り出して。


砂埃を切り裂くようにして、黒い塊が俺達の前に飛来したのだ。




「フハハハハハッ!次々とルークが倒されて、どんな強いやつがいるかと思えば……まさか、雑魚が集まっていたとはな!少しはやるようになったか?」




以前とは容姿が変わっている。


黒井だとわかる要素はほとんどなくなって、より悪魔のような風貌になっていた。


「最悪だな……ここでビショップがやって来るなんてよ」


「秋本の言う通りだね。出来れば、もう少し強くなるまで会いたくはなかった」


現時点で、北軍と東軍最強の二人が、目の前の悪魔に怯えているように感じる。


それは、俺も同じで……身体中から、汗が止まらず吹き出していた。