東京ヴァルハラ異聞録

「そうだな。心配するな、北軍の死神。お前の恋人を取ろうなんて思ってはいない。私の想い人は、きっとあの塔の頂上にいる。昴少年ではないよ」


ぶっきらぼうな物言い。


だけど、どこか優しさを感じる言葉。


それに安心したのか、沙羅の手が俺の腕から離れた。


「あーっ!やだやだ!どいつもこいつも色恋にうつつを抜かしちゃってさ!私と秋本だけかい!?ストイックなのはさ!」


当たり散らすように、雨村が声を上げた。


「あ?俺にだって女くらいいる。テメェと一緒にするんじゃねぇよ」


ん?秋本は神凪とよりを戻したのか?


口論してたからそうとは気付かなかったけど、もしかするとそれだから俺に協力してくれるようになったのかもしれないな。


「……私だけかい」


そう呟いた雨村は、少し寂しそうだった。


「えーっと、そろそろ俺から話してもいいかな?このまま行くと、ルークは東軍のキングを破壊してしまう。バベルの塔に行くなら、俺達が弱くなるのは避けたいだろ?だから、こいつを倒すのに協力してくれ」


「キングだと?だったら別の場所に移せばいいだけじゃねえのかよ」


「それがそうもいかないんだよね。東軍のキングは動かせない。故に、活動を再開したらすぐに倒さなければならないんだ」