東京ヴァルハラ異聞録

「ホント、困ったもんだよね。キングが破壊されれば、俺達に勝ち目はなくなるし、北軍に攻め込まれれば良いカモだよ」


冗談っぽく、笑って名鳥はそう言ったが、それが笑っていられる事態でないことくらいは皆わかっていた。


それでも、今はどうする事も出来ないのだ。


「やっぱりさ、昴を行かせたのは間違いだったんじゃないの?あいつがいれば、もう少しは足止め出来たかも知らないっしょ?」


「雪子ちゃん、それは違うな。確かに昴は強いけど、あいつは西軍の人間なんだ。自軍がピンチなら、何を置いても駆け付ける。俺達だってそうするでしょ?だから、俺達で何とかするしかないんだよ。ま、恵梨香ちゃんも帰って来てくれたし、どうにかなるでしょ」


「はぁ?恵梨香ちゃんが一体どこにいるって……」


首を傾げて、雨村がそう言った時だった。


「よく分かったな、名鳥。少し遅くなってしまったが、戻って来たぞ」


いつの間にかルークの上に乗って、眼下を見下ろしている恵梨香がそこにはいたのだ。


「やあ。何か収穫の一つもあったかい?恵梨香ちゃんは騒動を起こす天才だから期待はしていないけどさ」


ハハッと笑って、ルークから飛び降りた恵梨香に名鳥は尋ねた。