東京ヴァルハラ異聞録

しばらくして、浴室から沙羅が出て来た。


そして、布団の中に入って来たのだ。


な、なんで沙羅まで!


い、いや落ち着け落ち着け。


この部屋はシングルの部屋だ。


沙羅も身体を休めなきゃならないとなると、このベッドしかないじゃないか。


そう、これは必然と言うか、仕方のない事なんだ!


なんて自分に言い聞かせるけど、当然落ち着いてなんていられるはずがない!


背中を向けているとは言え、全神経が背中に集中している。


そんな状態で……沙羅が、俺の背中に手を当てたのだ。


ビクッと身体を震わせて、なんなら小さく「ひゃっ」と声が出た。


「……昴くん。本当にありがとうね。初めて会った時から、昴くんは沙羅の味方をしてくれたよね」


ゆっくりと、語るように話し始めた沙羅。


「真由ちゃんを探すのを手伝ってくれたし、沙羅を助けにも来てくれた。どんどん強くなって……バベルの塔に行くのも、もう手が届く所まで来てる。きっと、昴くんがいてくれたからだね」


そう言いながら、沙羅が俺の背中に顔を付けたのがわかった。


そう言ってくれるのは嬉しいけど、きっと俺がいたからなんて理由じゃない。