東京ヴァルハラ異聞録

西軍やはぐれポーンなら、残った人で何とかなるだろう。


だけど、万が一にもビショップが現れたら。


止める人がいなければ、壊滅してしまうかもしれない。


いや……あのビショップが相手なら、誰がいたって一緒か。


秋本でさえ、相手にもならなかったと言うから。


「皆には……沙羅のわがままを聞いてもらったから。だから、ずっと一緒にいる」


弱ったな。


こんな時、どんな言葉をかけるのが正解なのか、俺にはわからない。


沙羅は好きだけど、恋愛経験の少なさのせいか、どうしても一歩踏み込めない。


そんな事を考えている間にもエレベーターが止まり、扉が開いた。


「と、とりあえず部屋に行こう。さ、沙羅も疲れてるだろ?か、身体を休めなきゃな」


動揺するな俺!


これじゃあ何だか、理由を付けて女の子を部屋に連れ込んでいるみたいじゃないか!


「そう……だね。濡れた服も乾かさなきゃならないし」


歩き出した俺の手を取り、後ろを歩く。


……ヤバい。


何だろう……凄くドキドキしてきた。


身体を休めなきゃならないのに、それどころじゃない。


秋本が言っていたのはこの事だったのかと、今になって気付いた。