東京ヴァルハラ異聞録

「んじゃ、俺はこっち。お前はそっちな。時間が来たら両国で待ってろ。わかったな?」


「え、あ、いや。なんでホテルを別にするんですか?」


「なんで一緒のホテルにしなきゃならないんだよ。修学旅行か、気持ち悪い。それに、お前ら見てるとイライラするからな。まあ、せいぜい疲れを取っておくんだな」


そう言い、秋本はホテルに入って行った。


一体何の事を言っているのかわからないまま、俺は首を傾げてホテルに入った。


フロントで部屋の鍵を適当に取り、エレベーターに乗る。


客なんて俺くらいしかいないだろうと、エレベーターの扉を閉めようとした時だった。


ホテルに入って来た人が、こちらに向かって駆け出したのだ。


一瞬、俺を殺そうとしている北軍の人間かと思って日本刀を取り出したけど……違う。


「昴くん!!」


その細い声に驚き、俺は慌てて閉まりかけていた扉を手で止めた。


「沙羅……どうしてここに」


エレベーターに駆け込んだ沙羅にそう尋ねると、沙羅は寂しそうな表情を浮かべて。


「沙羅も行く。もう、昴くんと離れたくない」


「だ、だけど、北軍の守りはどうするんだ!?秋本と沙羅がいなくなったら……」