東京ヴァルハラ異聞録


『……俺達の勝利だ!!』


まず第一声、それだけで川岸や橋にいた人達から歓声が上がった。


俺達も素直に喜びたいけど、蓄積された疲労がそうさせてくれない。


今回はものすごく神経を使ったな。


気疲れというのかな。


北軍の中で、俺だけ西軍というのもその要因になっているのかもしれない。


『この化け物は倒した。だが、まだ化け物がいなくなったわけじゃない。ビショップとかいうふざけた野郎がまだいるからな。そいつは、この化け物よりも強い。だから、俺はビショップを倒しに行く』


その言葉に、歓声に湧いていた人達からどよめきが聞こえ始めた。


「はぁ?何言ってんだ秋本さんは。倒しに行くって……まさか北軍から出るつもりか?」


拓真が首を傾げてそう言ったけど、恐らくその通りだろうな。


負けたままで終われない……秋本なら、そう考えても不思議じゃない。


『俺はいずれ、バベルの塔に挑む。初めて会った時はクソ弱くて、俺が手を抜いても遊び相手にすらならなかったガキが……今では俺と同程度まで強くなりやがった。結城昴!お前が俺の失くした希望を、もう一度見させてくれたんだ。俺も行くぞ、お前と一緒に、あの塔に』