東京ヴァルハラ異聞録



「テメェは……起きるんじゃねぇっ!!」


左側の川岸。


浅草方面から飛んだ一人の人間。


秋本が、高速でハイジャンプを見せたのだ。


雨を弾き、それが一筋の道のように見える。


さすがは秋本と言うべきか。


一気にルークの頭上に到達し、降下と同時にハルベルトをルークの頭部に突き刺したのだ。


それに続いて、両側の岸から何本もの筋がルークに向かう。


「ここでくたばれ化け物が!!」


「人間をなめるなよ!」


吉良や龍拳の雄叫びが聞こえる。


ルークに張り付き、頭部を目指して駆け上がっている。


だが、当のルークはそんな事はお構いなしに前進を始めた。


「これ以上進めるなっ!!岸に上がる前に勝負を決めるぞ!」


その声と同時に、遠距離攻撃が始まる。


「昴くん、沙羅達も行くよ!ここで止めるんだから!」


「わかった。だけどこの距離……行けるのか」


橋に近い場所にいる。


とは言え、川岸からと比べると距離があって、俺でもこの距離は跳べるとは思えない。


川に落ちてしまうのが目に見えている。


そんな中、沙羅は橋から飛び上がり、後方から飛んで来る矢を踏み付けて、空を駆けたのだ。