東京ヴァルハラ異聞録

「そう……だな。何も死にに行くわけじゃない。俺達はルークを殺しに行くんだ」


将太がそう呟いて、フフッと笑って見せた。


「そうそう、西軍のルークだってこいつが倒したらしいじゃないすか。こいつに出来たのなら、俺達に出来ないわけがないでしょ」


バシッと俺の背中を叩いた拓真。


こういうところは昔から変わらないな。


楽天的というか、物怖じしないと言うか。


だけど、こういう時だからこそ心強く思える。


「じゃ、そろそろ現場行きますか。ここでグダってても仕方ないし、ルークを取り囲んだ方がいいでしょ。川の真ん中なら、ボートを用意するのもアリだと思うし」


龍拳がそう言って、隅田川の方に歩き始めたのを見て、俺達も後に続いた。



~隅田川~


そこは奇しくも、俺と篠田さん、御田さんが北軍に追い詰められて川に飛び込んだ場所。


吾妻橋の近くに、その巨大な塊はあった。


とは言え、川から少し岩のような物が出ているだけで、何も知らなければ元々そういう光景なのだろうなと思ってしまうほどだ。


そして、橋の真ん中。


柵に腰掛けて、ルークをぼんやりと眺めている女の子がいた。


姿が見えないと思ったら……こんな所にいたのか。