東京ヴァルハラ異聞録

肩の痛みを堪え、日本刀を一気に引き抜く。


黒井がビショップになった経緯を知った事に驚いたのか、ほんの一瞬秋本の動きが止まった。


その隙を突いて放った俺の攻撃。


日本刀を秋本の首元にピタリと当て、俺は動きを止めた。


「……黒井の野郎。人である事を捨てたか」


そう言いながら、日本刀をハルベルトの柄で除けて武器を下ろした。


「お前も一体何があった。動きに迷いがなくなったし、随分強くなったじゃねぇかよ」


「まあ……色々あったから」


そう言うと、秋本はフンッと鼻を鳴らして。


「気に食わねぇ。お前はともかく、黒井の野郎は許せねぇ。あいつはどこにいやがる。俺が殺してやる」


怒りに満ちた目でスカイツリーを見上げた秋本。


そうか。


ルークの落下で、元カノだった神凪を失って、その怒りの矛先が黒井になっているのか。


「西軍で暴れた後、バベルの塔に飛んで行ったって聞いた。だからいるとしたら……」


「バベルの塔かよ。結局そこに行かないと戦えないってのか?」


恐らくそういう事だろうけど、今の俺達が戦っても勝てるとはとても思えない。


可能性があるとしたら、この街の強い人達全員で挑むしかないだろうな。