東京ヴァルハラ異聞録

俺の手を払い、睨み付けた千桜さんに何も言えずに。


「結城昴。千桜さんの言う通りです。味方同士でいがみ合っていても、あの悪魔には勝てません。あなたの目的はバベルの塔の頂上にあるのでしょう?だったら、いずれあの悪魔とも戦うという事ではありませんか?怒りはその時に取っておきなさい」


月影にまでそう言われ、俺はどうすれば良いかわからず、千桜さんを押し退けて部屋を出た。


エレベーターまで走り、一階へ。


そんな事、言われなくたってわかってる。


皆ビショップに挑んで、必死に戦った事くらい。


きっと、この怒りと悲しみは、そんな事が起こっているのに何も出来なかった俺自身への気持ちなのだろう。


いくら強くなったって、こんなにも簡単にビショップに殺されて。


バベルの塔に一緒に行ってくれる人達がいなくなる。


黒井……ビショップにさえならなければ、あいつも一緒に行ってくれたかもしれないのに。


考えれば考えるほど、絶望しか見えない。


バベルの塔を目指すなんて、無理だったのかなとさえ思ってしまう。


肩を落として、とぼとぼと歩いていると、気付けば御田さんと美姫がいる場所に。


そんな俺の顔を見て、御田さんも気持ちを察してくれたようだ。