東京ヴァルハラ異聞録

そうか。


黒井は……ビショップはバベルの塔か。


そこでより強い者を待つつもりなのか、それともただ気まぐれでそこにいるだけなのか。


どちらにしても、バベルの塔の頂上に行くには最大の強敵となるに違いない。


今のままで、やつを倒せるのかどうか。


「……それで、悟さんはどこに。生きているんですよね?」


俺がそう尋ねると、御田さんは俺から目を逸らして。


「会わない方がいいぞ?会ったところで、お前が来たとはわからないだろうからな」


それほどまでに酷い状況なのか。


「会わせてください。お願いします」


たとえ、どんな状態であろうと、兄貴みたいな存在だった悟さんには会いたい。


「英太さん、僕が案内します。ここで待っててください」


「悪いな、千桜。ワシも言ってやりたいが、最近身体の調子が悪くてな……悟を見たら、怒りでどうにかなってしまいそうじゃい」


「お察ししますよ。美姫さんと月影さんも英太さんと一緒にいてください。とても見せられる姿ではありませんから」


と、二人を気遣った様子で千桜さんが言うと、美姫は頷いたけれど、月影は首を横に振った。


「いえ、私も行きます。あの日、私は恐怖して戦えなかった。だから、見ておきたいのです」