東京ヴァルハラ異聞録

「やったか!昴!」


御田さんの言葉に頷いた瞬間、攻撃を加えた部分から血が噴き出し、グラリとルークが前のめりに傾き始めたのだ。


「早く逃げましょう、御田さん!」


そう言って、俺達はルークの背中の方へと駆け出した。


「や、やったんですか!?って、わわっ!た、倒れるっ!」


月影を抱えた千桜さんが、なんとか肩を駆け上がろうとしているけど、バランスを崩して上手く駆け上がれない様子。


だからって、俺が戻っている暇もない。


「美姫!千桜さんを頼む!」


「わ、わかった!」


千桜さんと月影の救出を美姫に任せて、俺と御田さんはルークの背中を走る。


この高さなら飛び降りても問題はないと思うんだけど、ルークがビルに当たる度、身体の向きが変わって走る方向を変える。


こんな状態だから、下手に飛び降りでもすれば、ルークの下敷きになるかもしれないのだ。


それにしてもルークの背中はボコボコしていて走りにくい!


そして……完全にルークが倒れて、俺と御田さんはその背中で周囲を見渡した。


周りにいた人達は、何が起こったかわからない様子で。


御田さんがPBTを取り出して、それを口に当てる。


「この化け物は倒した。我々の勝利じゃ!」