東京ヴァルハラ異聞録



「グオオオオオオオオッ!!」


激しい咆哮のような悲鳴が辺りに響き、ルークの右手が目を押さえようと振り上げられた。


「!!月影!」


俺の声が届く前に、その右手が月影に覆い被さった。


「の、乃亜ちゃん!!」


美姫が思わず声を上げたが……御田さんがルークの肩を指差して叫んだ。


「いや、無事だ!そのまま上昇しろっ!」


その指の先には、オレンジの服を身に纏った男が。


月影を肩に担ぎ、こちらに向かってグッと親指を立てる千桜さんの姿があったのだ。


「千桜さん!やってくれる!!決めるぞ!この一撃で終わらせる!!」


「うんっ!」


看板が上昇する。


そしてルークの頭上で反転し、急速に落下を始めたのだ。


「昴!!溜めた力を刃に留めるんじゃ!一撃に全ての力を込めろ!」


「はいっ!!」


そうは言ったものの、どうすれば良いかがわからない。


日本刀を納めた鞘が、力を溜め込み過ぎたのか、ガタガタと震え始めて、今にも弾き出されそうだ。


でも……やるしかない!


「行くぞっ!!」


そう叫んで、看板を蹴った俺はルークの頭部に向かって一直線に落下した。