東京ヴァルハラ異聞録

「ビショップ……あの黒い悪魔か。全く、どうなっとるんじゃこの街は。次から次へととんでもないやつらが現れる」


「よし、行きましょう!こうしてる間にも、ルークがやって来ます!」


ゆっくりではあるが、こちらに迫っているルークを見上げ、走り出したその時だった。







「ま、待って!!私も……私も行きます!」






呼び止められ、振り返った俺の目には、不安そうな月影の姿。


「そんなに震えてちゃ無理だ」


「無理じゃありません!あなたは今から無理を押し通そうとしている。だったら、この程度は無理じゃありません!私も連れて行ってください!」


正直、月影がこんな事を言うとは思わなかった。


どこか冷たくて、冷静に状況判断をする人だと思っていたから。


言われた通り、俺は無理を押し通そうとしている。


だから、月影が来るはずないと思っていたのに。


「わかった。でも、危ないと思ったら逃げろよ?」


「逃げません!舐めないでください!」


そう叫んだ月影に微笑んで、俺は駆け出した。


ルークを止めることは、キングを守る事。


休眠を待つなんて悠長な事は言わない。


絶対にここで殺してやる!