東京ヴァルハラ異聞録

「わかっています。私には篠田さんほどの力はない。だけど、誰かが西軍の象徴にならなければ、他軍に負けてしまうんです!」


月影のその気持ちは、御田も橋本も理解していた。


橋本は、月影と同じ気持ちで戦い続けていたし、否定出来る立場ではなかった。


御田にしてみても、一戦を退いた身とは言え、自軍が敵軍に嬲られるのを良しとはしていなかったし、いずれ現れる指導者に期待をしていたから。


「なぁに。タケさんの意思を継ぐ者はいる。新時代の風は必ず吹くからな。それまでワシらは待っていればいい。ひとまずはあのデカブツの足止めをしようかのう」


「新時代の風……?そんなものを待っていたら、私達は全滅してしまいますよ!」


「せっかちなお嬢さんじゃな。安心せい。もう風なら吹いとるよ。ほれ、その風に身を委ねた者がやって来たわ」


そう言い、ルークの方を指差した御田。


その指の先には、宙を舞う美姫の姿があったのだ。


「乃亜ちゃん!大丈夫!?」


ふわりと月影の前に舞い降りた美姫。


「え、ええ……美姫ちゃんこそ、怪我はない?」


「うん、美姫は大丈夫!そろそろ復活してる頃だもんね。絶対に来てくれるから、それまでは頑張らないと」