東京ヴァルハラ異聞録

「あれは、五日前か。黒井と秋本が戦ってる時だったなぁ。戦い続ける事5時間、決着が付かずにまだ続くと思っていたんだ」


……それって、俺が戦意を喪失した時だよな?


黒井と秋本は5時間も戦い続けてたのか。


ハイレベルな戦いだと、勝負は一瞬で決まると名鳥は言っていた。


それでも5時間戦い続けたって事は、お互いに凄まじい集中力があったって事と、実力が均衡していたって事かな。


何にしても化け物だろ、二人とも。


「そうだね。私も見物してたもん。どっちが勝つか賭けてたのにさ、アレのせいで流れちゃったね」


タバコをくわえて笑う雪子に、名鳥が頷く。


「そう、二人が戦いを止めたのは、スカイツリーにとんでもない数の雷が落ちたから。それだけだと戦いを止めなかっただろうけど、それだけじゃなかった」


話の流れからすると、そこに卵が現れたって事なんだろうけど、そんな理由で二人が戦いを止めるとは思えないんだよな。


「まあ、察しの通り卵が現れたんだけどね。今は穏やかなんだけどさ。現れた直後、とんでもない殺気と言うか……恐ろしい力を感じたんだよ」


名鳥が言うように、今はそんな恐ろしい力なんて全く感じない。


何事もなかったかのように、それが存在しているだけ。