東京ヴァルハラ異聞録

「え、この子連れて行くっての?どう見ても強そうには見えないけど。隙だらけだしさ」


胸から手を離し、驚いた様子でこちらを見た雨村。


まあ、確かに美姫はいわゆる「ファイター」タイプではない。


遠距離武器とも違う、後方支援型だから、強そうに見えなくても当然なんだけど、その力は侮れない。


「はぁ……って、話が見えないんだけど。東軍の人と話をしてるかと思ったら、何かするつもりなの?」


「えっと、美姫ちゃん?俺達は今から、スカイツリーの外側に現れた卵の調査に行くんだけど、手伝ってくれるって事でいいかな?」


低く渋い声で名鳥がそう言うと、美姫は慌てて俺の顔を見た。


いや、美姫を置いて行くわけにもいかないし、絶対に役に立つと思ったから。


「ま、まあ……昴くんが良いって言うなら良いけど」


「なんだいなんだい。二人して『昴くんが良いなら』ってさ!そんなに良い男かね?」


雨村が、呆れたように首を横に振ったけど、名鳥はスカイツリーの方を指さして。


「とりあえず移動しながら説明しようか。どうしてそれを調査しなければならないかをさ」


この街で起こる事に、良い事なんてありえない。


それがわかっているから、突然現れた卵に良い印象はなかった。