東京ヴァルハラ異聞録

「はぁ……はぁ……あの貧相少女、化け物かい。この雪子さんがやっと勝てたよ」


「はいはい、お疲れさん。でもま、勝てたなら良かったじゃない」


「身体中傷だらけで、武器も破壊されて、それでも勝ちって言うならね!ほんっとに割に合わないよ!二度とあの女とはやりたくないね」


言葉通り、衣類は切り裂かれて、髪もぐちゃぐちゃ、メガネを元に戻す気力すらないのか、雨村は名鳥の肩を掴んで苦しそうにPBTを取り出す。


「さ、沙羅!」


雨村のその姿を見て、慌てて沙羅に駆け出した。


地面に倒れ、眠るように気を失っている沙羅を抱きかかえて。


「ごめんね雪子ちゃん。俺、負けちゃったよ。雪子ちゃんと昴、勝った者同士で戦ってみるかい?」


「かーっ!冗談言わないでよ!名鳥より強いやつに、武器を折られた私が勝てるわけないっしょ!まあ……ベッドの上でなら何戦でも勝てるだろうけどさ。どうする?お姉さんとそっちの勝負してみる?」


PBTで傷を治し、本気か冗談かわからない事を言う雨村に苦笑いを浮かべて。


「いや、いいです。雨村さんとも戦ってみたかったですけど。後は……」


黒井と戦って、あの時の絶望を振り払わないと。