東京ヴァルハラ異聞録

「ん?ああ。変わったやつだったよ。会う度にとんでもなく強くなって行ってさ。戦う時はいつも苦しそうに、祈るように日本刀を振るってた。だから……全てを託せるやつだった」


「そう……ですか。俺はまだまだですね」


「ま、お前が高山真治になる必要なんてないんじゃない?誰もあいつの代わりを求めてなんていないっしょ。結城昴は、結城昴にしか出来ない事をすればいい」


その言葉を聞いて、気が楽になったような気がした。


俺にしか出来ない事……か。


そうだよな、誰も俺に、高山真治の代わりなんて……。


と、そこまで考えて、二人の顔が思い浮かんでしまった。


「あ……いや、いました。俺を高山真治だと思ってる人達が二人」


「ああ……俺も言ってから気付いた。恵梨香ちゃんと黒井だね。あの二人はちょっと想いが強過ぎるかもしれないね」


それに応えられるくらい強ければいいんだけど、今の俺ではまだその想いに届かないだろうな。


PBTで瞬間回復をして、雨村と沙羅の勝負の行方を見守った。


「お、どうやら向こうは雪子ちゃんの勝ちみたいだね。随分とボロボロになってまあ」


沙羅が負けた……。


折れた日本刀を振り上げて、地面に倒れる沙羅を雨村は見ていたけど、そんな気力もないのか、武器を下ろしてこちらに向かって歩き出した。