東京ヴァルハラ異聞録

「やっぱり強い……嬉しいですよ!あんたみたいな人と戦えて!」


「そうかいそうかい。でも、暑苦しいのは嫌いなんだよね」


そう言うと名鳥は、タバコの煙を近距離で俺に吐きかけた。


痛みに対しては何とか我慢出来るけど、未成年の俺にはこの不意の煙はたまらない。


「うわっぷ!!くさっ!」


慌てて名鳥を左側に突き飛ばし、目の前を手で払う。


「はははっ!まだ少年には早かったかな?」


そんな俺を笑いながら見ている名鳥だったが、俺に突き飛ばされた位置が悪かったのか、後ろに下がった瞬間、足を踏み外して地上へ落下して行ったのだ。


「あらっ?」


情けない声だけが聞こえ、姿が消える。


普通なら、これで終わり……となるかもしれないけど、相手は名鳥。


終わるはずがない。


日本刀を鞘に納め、俺も後を追うように屋上から飛び降りた。


と、同時に、眼下にいる名鳥がショットガンの銃口を向ける。


「来ると思ってたよ。さあ、どうやって回避する?」


引き金が引かれる。


銃口から飛び出した弾が、俺に向かって飛び散るように放たれた。


広範囲の攻撃……どう回避するかなんて、選択肢はほとんどなかった。