東京ヴァルハラ異聞録

「こりゃあ、一本取られたね。戦いたくなくても、やらなきゃならない時があるんだよね。確かに理由なんてなんでもいいかもしれないけど、その理由で人は強くなるんだよ」


おどけた態度から一転、真剣な眼差しを俺に向ける名鳥。


手にはソードオフショットガンが持たれて、また遠距離武器との戦いかと思うと嫌になる。


「戦う前に、一つだけ聞いていいかな?」


「?どうぞ」


「さっきの黒崎ちゃんの姿を見て驚いてたけど……アレを見るのは初めてだったって事?」


アレって……貧相って言われてブチ切れた沙羅かな?


出会ってから一度も、あんな沙羅を見た事がなかったから、そりゃあ驚くよな。


「今まで、ほんわかした沙羅しか見た事がなかったので」


「ほう、こりゃあこりゃあ。じゃあキミは『北軍の死神』を知らなかったわけだ。いや、好きな男の前だから見せなかっただけか」


何をブツブツ言っているのかわからないけど、今までの沙羅は北軍の死神じゃなかったとでも?


「一体それが何だって言うんですか」


「いや、女にはいくつもの顔があるって事さ。『北軍の死神』相手じゃあ、雪子ちゃんも大変だと思ってね。さあ、場所はどうする、このまま始めるかい?」