東京ヴァルハラ異聞録

矢が俺に向かって放たれる!


だが、俺の居合斬りが矢を弾き、落下する大友を捉えたのだ。


「……ぐふっ!」


落下しながら光の粒へと変化する大友を見ながら、俺は溜め息を吐いた。


本当に強かったな。


もしも、遠距離でさっきの技を使われていたら、接近するどころじゃなかった。


大友がヒントをこぼさなければ、俺はいつまでも矢から逃げていたかもしれないし。


だけど……勝った!


「沙羅!大友に勝ったぞ!」


「昴くん……うん、勝てたね」


俺と大友の戦いを見ていた沙羅に駆け寄り、笑って見せるけど……どうしたんだろう。


少し戸惑っているような。


「どうした?」


「んーん、何でもないよ。ただね……昴くんが昴くんじゃないみたいで……ごめん、忘れて。沙羅がおかしいんだよね」


俺が俺じゃない……か。


確かに、高山真治と戦う前と比べたら、全く別人と言えるほど強くはなったと思う。


だけど、こうなるまでに俺は何千回と死んで、その都度少しずつ強くなって行ったんだ。


俺にしてみれば、気の遠くなるような時間をひたすら戦い抜いていたわけだから、何かが変わったという実感はあまりない。